JICA技プロ(SATREPS)ザンビア

JST/JICA 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)
「下痢リスク可視化によるアフリカ都市周縁地域の参加型水・衛生計画と水・衛生統計」(SPLASHプロジェクト)

プロジェクト代表者

原田英典 准教授

相手国名

ザンビア:ザンビア大学/ザンビア大学経済・社会研究所/ザンビア大学統合的水資源管理センター/ルサカ市公衆衛生局/ルサカ市水衛生公社

背景

水と衛生はベーシックヒューマンニーズの一つでもあり、健康で快適な暮らしに欠かせず、その実現はグローバル・イシューとなっています。ザンビア・首都ルサカの周縁に広がる未計画居住区でも、水と衛生の不備が喫緊の課題となっており、コレラのアウトブレークが散発している主因の一つと考えられるいます。水供給は安定しておらず、地域の人々は断水が頻繁に起こる共同水栓で水を汲み、家でバケツで溜め、使いますが、不衛生な生活環境からの多様な伝播により水汲み後の水は汚染されていきます。水を守り、健康な暮らしを実現するには、行政によるインフラ整備と並行して、生活者による主体的な衛生実践が不可欠です。しかし、人々は携帯電話を持っていても衛生的なトイレを持っていないこともおおく、その実現は容易ではありません。

未計画居住区のトイレ
未計画居住区の共同水栓での水汲み

活動の概要

SPLASHでは、水・衛生の重要性を「教える」のではなく「実感する」ことで、水・衛生の価値を見直し、住民主体の水・衛生改善のムーブメントを作り出そうとしています。その中核にあるのが住民参加型のリスク可視化ワークショップです。ワークショップでは、自らの関心に基づき生活空間からサンプルを採取し、簡易試験により大腸菌を観察し、可視化したリスクに基づき改善策を立案します。これらを通じて、生活空間(たとえば水、手、床など)の汚れを目の当たりにした住民が、行政の無作為を非難しがちな環境衛生問題を自身の課題として再認識し、主体的な改善を実現することを目指します。このプロセスを支援するアプリを開発し、同時にアプリを通じて住民による検査データを集積してビッグデータ化することで、水・衛生統計をつくります。
これらは、研究者が一方的に科学的知見を与えるのではなく、住民が科学的手法をツールとして使い、自らの生活世界を再解釈するプロセス(在来知と科学知の融合)といえます。また、この市民科学的水・衛生統計の創出は、ミクロな住民の気づきを、マクロな都市衛生政策へと接続する試みでもあります。

この活動を支えるために、理工系から人文社会系にわたる多様な研究を展開しています。ザンビア大学内に実験室を整備するとともに、住民の水・衛生実践の理解、地域の水・衛生に関わる多様なアクターの社会関係の理解、地域コミュニティの形成過程の理解、水・衛生政策のコレラへの対応の変遷の理解、水の汚染の遺伝子解析、汚染の伝播とリスク構造の解析、住民の検査データのエラーを検出・補正するアルゴリズムの開発などに関する研究を行っています。

ザンビア大学に整備した実験室
浅井戸のサンプルを採取する住民
大腸菌を確認する様子
ワークショップでの議論

社会実装

本プロジェクトは、JICAでは技術協力プロジェクト(ODA)として位置付けられ、JICAや日本政府、ザンビア政府の支援を受けつつ、ルサカの三つの未計画居住区での社会実装を目指しています。ザンビア大学を中心としつつ、ルサカ市公衆衛生局、ルサカ水衛生公社と協働しています。また、地区開発委員、水衛生普及員、地域の保健師、地域のNGO、地域住民など、多用な地域のアクターと協働しています。また、日本の複数の大学との共同研究として実施するとともに、国内外のNGO、民間企業などとも連携しています。

関連リンク

ザンビアフィールドステーションのページ

プロジェクトサイト(日本語)

プロジェクトサイト(英語)

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