内容
本書の舞台はケニア北部の乾燥・半乾燥地。イギリス植民地期から現代まで統治者たちはこの地に介入を繰り返してきた。しかし今なお国家の目が行き届かない周縁部に位置づけられるのはなぜか。歴史的資料を用いながら現在を再考する〈現在史〉の視点で、サバンナの〈いま〉を描き出す。
目次
序章:サバンナの民の統治と抵抗
- はじめに:イシオロの広場にて
- 東アフリカの牧畜民
- 国家の人類学
- 人間と動物の関係
- 集合的な生の「小さな歴史」
- 方法と構成
第1章 玄関先の物乞いたち:辺境部における植民地統治の始まり 一八九五~一九三〇年
- 辺境地域の統治
- 統制される家畜
- 支配の道具としての家畜
第2章 家畜の過剰と市場:第二次世界大戦時までの家畜の問題化 一九一九~一九四六年
- 原住民家畜の問題化
- 北ケニアにおける原住民とその家畜の統治
- 新たな形式の統治とその失敗
第3章 開発の時代:第二次世界大戦後の家畜管理 一九四四~一九六三年
- 戦後の畜産・家畜医療開発
- 北ケニアにおける開発と家畜
- 開発と家畜
- 植民地開発の限界
第4章 国家、市場、自由:ポスト植民地期における牧畜民の再周縁化とエンパワーメントの統治
- 独立以降の牧畜民の再周縁化
- 構造調整政策と乾燥・半乾燥地のメインストリーム化
- 統治テクノロジーとしての市場
- 新たな抵抗へ
終章 集合的な統治の歴史
謝辞索引
注
参考文献